緑内障を治療する目薬にはたくさん種類がありますで簡単に説明します。
緑内障の治療の目的は視野障害の進行を止めること(できるだけ遅くすること)です。現時点でその方法は主に視神経障害が進まなくなるまで眼圧を下げることです。そのために未治療時の眼圧を参考に治療前より20~30%下げるのが一般的です。そのためには緑内障のタイプや病期に応じてさまざまな薬やレーザーまたは手術による治療が行われます。ここでは一番多いタイプの開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障を含む)に対する治療薬を説明します


眼圧は眼に入る房水の量(房水産生量)と眼から出ていく房水の量(房水流出量)のバランスで決まります。つまり房水産生量が流出量より多くなると眼圧が上がり少なくなると眼圧が下がります。したがって眼圧を下げるためには房水産生量を減らすか、房水流出量を増やすか、この両方をしてやればいいわけです。

薬の種類
次に現在使われている薬がこのどれかを診ていきましょう。(主なもののみです)
1.プロスタグランジン関連薬
プロスタグランジン製剤は効果が強く1日一回の点眼ですむので、現在緑内障治療の第一選択薬として使われている薬です。
一般名:ラタノプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト、ビマトプラスト
作用機序:ぶどう膜強膜路からの房水流出を増加
副作用:全身→あまりなし、局所→虹彩色素沈着、結膜充血、まつげが太くなる、まぶたの上のくぼみが深くなる
2.β(ベータ)ブロッカー
局所の副作用があまりなく効果が割合強い薬です。単独あるいは合剤(他の薬と混ぜた目薬)で使われています。1日1回の薬が主流です。
一般名:チモロールマレイン酸塩、カルテオロール塩酸塩
作用機序:房水産生を減少させる
副作用:全身→気道を収縮させる、脈拍を減らす、局所→あまりなし
3.炭酸脱水素酵素阻害薬
投与回数が1日2から3回の薬で、βブロッカーとの合剤でよく使われています。
一般名:ドルゾラミド塩酸塩、ブリンゾラミド
作用機序:房水産生を減少させる
副作用:ドルゾラミド塩酸塩→しみる、ブリンゾラミド→点眼時かすむ
4.α2作動薬
眼圧下降だけでなく神経保護も期待されている薬です。
一般名:ブリモニジン塩酸塩
作用機序:ぶどう膜強膜路からの房水流出促進、房水産生抑制
副作用:全身→眠気など、局所→アレルギー性結膜炎など
5.ROCK阻害薬
線維柱帯シュレム氏管経路の流出を増やす薬です。
一般名:リバスジル塩酸遠水和物
作用機序;線維柱帯シュレム氏管経路からの集出促進
副作用:結膜充血、眼瞼アレルギーなど
6.配合剤
βブロッカーとプロスタグランジン製剤や炭酸脱水酵素阻害剤を混ぜた薬がいくつかあり点眼回数を減らせます。
1剤で目標の眼圧に達しないときはいくつかの薬を組み合わせて眼圧を下げていきます。それでも不足なときはレーザー治療や手術で眼圧を下げることになります。